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戦略で英検1級に合格するまで|第6話: 1次試験<失敗談あり>

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ITエンジニアの僕(英検4級)が、英検1級を受けてみました。
真っ向勝負ではとても敵わないので、勉強効率や時間配分を工夫し、戦略的に合格を目指した時の記録です。

今回はすべて、物語調です。
以下のことについて、書いています。

  • 前日・直前にやったこと
  • 失敗したこと
  • 本番のペース配分
  • 受験のテクニック

 

– 前 –

前夜

– 2019年1月26日(土) 21:00 –

2018年9月半ばから、約4ヵ月間にわたり準備を進めてきた英検1級。

その第1次試験も、いよいよ翌日に迫っていた。

 

準備は足りてない。

だから今もこうして、ライティング対策のために書き出したトピックを必死に覚えている。

 

「せめて脳を最高の状態にして、明日は挑みたい。」

 

気晴らしも兼ねて近くのセブンイレブンに行った僕は、梅おにぎり、マカデミアンナッツ・チョコレート、そして豚汁を買った。

 

これらは明日の朝食になる。

梅おにぎりは・・・

  • ブドウ糖 (米)
  • アミノ酸 (梅)

マカデミアンナッツ・チョコレートは・・・

  • タンパク質 (ナッツ)
  • ポリフェノール (カカオ)

どこかで読んだ「脳の活性化によい」食材ばかりだ。
※豚汁は食べたかっただけ。

 

就寝時間も考慮する。

十分な睡眠 (8時間) + 脳がフル稼働するまでの準備時間 (3時間)

試験が13:30からスタートすることを考えると、やはり深夜0~1時の間に寝るのがよさそうだ。

 

「おまじない程度の効果しかないかもしれない。

でも、それにすがってでも明日の1次試験は突破したい。」

 

勉強の手を止め、予定通り深夜1時に僕は就寝した。

 

– 2019年1月27日(日) 9:30 –

試験本番の朝は、ゆっくり起床した。

しっかり寝たおかげで、眠さは感じない。

 

前日に買っておいた朝食を取り、しばらくリラックスしてから僕は家を出た。

 

直前

– 2019年1月27日(日) 12:30 –

着席予定時刻の13:00より、30分くらい早く会場に着いた。

まだ人はまばら。

席は自由でよいとのことだったので、僕は真ん中・一番後ろの席を確保。

誰かが出す雑音で、集中が途切れるのを防ぐためだ。

 

他の受験者が単語帳や過去問を開いている中、僕はなりふり構わずノート型パソコンを取り出す。

そしてライティングトピックを、もう一度暗記した。

 

 

– 12:55 –

最後に、マカダミアンナッツ・チョコレートでドーピング。

 

 

– 13:00 (試験の説明開始) –

試験の説明を聞きながら思うことがあった。

 

「今、この教室には40人位の受験者がいる。
1次試験の合格率(約10%)を考慮すると、合格できるのは4人だけか。」

 

僕の英語力は、きっと英検1級を受かるには足りてない。

ただ代わりに、リーディングライティングの戦術を仕込んだ。
※まだこの時点では、リスニングの攻略方法に気付いていない。

 

いい席を確保できた。

脳は今、最高のコンディションにある。

ドクンドクンと血管が鳴っているのが分かる。

集中している。

 

 

– 13:30 –

英検1級 第1次試験 開始

 

筆記試験: 13:30 ~ 15:10

 

 

– 中 –

試験開始直後、さっそく最初の戦術発動。

 

◆2018年度第3回 ライティングトピック

Is a worldwide ban on weapons of mass destruction an attainable goal?

 

「これはイケる!!」

僕がライティング対策として仕込んできた25個のトピックのうち、1つがヒットした。

作戦成功だ。

 

一安心し、Part1から解き始める。

 

Part1 (語彙問題)

ペース配分

予定: 13:30 ~ 13:45

実際: 13:30 ~ 13:43

 

もっとも時間を掛けて対策をした、語彙問題パート。

それでも、僕にとってかなり難しかった。

 

しかし戦略通りに進めるため、ペースは絶対に守らなければいけない。

問題によっては、50%まで絞り込んで判断。もしくは直感で判断。

 

これを徹底し、2分間の貯金ができた。

 

Part2 (長文穴埋め)

ペース配分

予定: 13:45 ~ 14:00

実際: 13:43 ~ 14:00

 

過去問を解いていた時に最も手堅かったのはPart2だったが・・・つまづいた。

1つ目の長文「Stockholm Syndrome」が、うまく読めない。。

 

しかも、僕はこの話の背景まで知っていたのに。

「誘拐事件において、本来人質は誘拐犯を憎むものである。
しかし、共に過ごす時間が長くなるにつれて、人質が誘拐犯に対して情(時には愛情)を抱き始める現象。」

 

この長文で時間をロスし、Part1で生まれた2分間の貯金を消費してしまった。

 

Part3 (長文)

最初2つの長文

ペース配分

予定: 14:00 ~ 14:20

実際: 14:00 ~ 14:20

 

Part3は、ほぼ問題なく読むことができた。

ペースも予定通りで来ており、これなら最後の長文(ラスボス)にもしっかり20分間掛けられる。

ここまでまったく問題がない・・・はずだったが!!

 

戦局はここから狂い始める。

 

最後の長文 (ラスボス)

ペース配分

予定: 14:20 ~ 14:40

脳内: 14:20 ~ 14:30

実際: 14:20 ~ 14:32

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– 14:25 –

Part4の1問目を解き終えた時・・・僕は異変に気付く。

 

「あれ?今、14:25・・・え、なんで!!?

20分間の時間を確保したはずだったのに、あと5分しかない!?

 

この時点で、僕はまだ第2パラグラフ(1 / 4)までしか読めていない。

あと5分で残りを読み切ることは、どう考えても不可能だった。

 

しかし、それでも目標は14:30・・・
最悪でも14:35までには終わらせないと、ライティングが書き切れない!!

 

相当、焦ったが・・・

こんな時のために、術を用意してきたんだ。

 

本来は最後の2問で使うはずだったが、もうそんなことは言ってられない。

 

 

僕は残りの文章を光速でスキャンし(読んだとは言えない)、(問39) ~ (問41)に解答。

無理やりペースを立て直し、ライティングへと進んでいった。

 

Part4 (ライティング)

ペース配分

予定: 14:40 ~ 15:10

脳内: 14:30 ~ 15:00

実際: 14:33 ~ 14:57

 

– 14:33 –

予定より少し遅れてしまったが、まだライティングを書き切ることが可能な時間(25~30分)は残っている。

そして今回のトピックは、僕にとっては当たりだ。

 

Is a worldwide ban on weapons of mass destruction an attainable goal?

これを論じるための材料は、完全に頭の中に入っている。

トピック
カテゴリ Y/N 理由1 理由2
21. Can nuclear weapon be worked as a deterrent?
世界情勢 N 核は抑止力として有効ではない。
テロリスト的思考があれば、無差別に使うから。
核開発費は莫大で、それによって貧困が生まれる。
貧困は戦争の引き金になる。
第二次世界大戦前の日本も同じです。

 

 

早速僕は、ペンを走らせ始める。

 

カッカツ・・・カリカリカリ・・・

 

不思議なことに、ペンが机を叩き鳴らす音は、周囲からまったく聞こえてこない。

この教室内で英作文を書いていたのは、僕だけだった。

 

 

Is a worldwide ban on weapons of mass destruction an attainable goal?

このトピックについてエッセイを書くのであれば、普通は「No」の方が書きやすい。

  • テロリスト思考を持った人たちは、国際ルールなんて無視する。
  • 兵器の開発は、ある国に対して莫大な富を生むビジネスになっている。

→人の行動や思考、またビジネスとして成立している点からも、大量破壊兵器の根絶は難しい。

 

しかし、マカダミアンナッツ・チョコレートのドーピングにより、頭に血がのぼっていた僕は「Yes」の立場を選んでしまった。

  • テロリストは無差別に大量破壊兵器を使うから、それぞれの国が抑止力としてそれを保有しても、意味がない。
  • 大量破壊兵器の開発費は膨大で、ある国ではそれによって貧困が発生している。そして、貧困は新たな争いを生んでしまう。

→みんながこの事実に気付けば、大量破壊兵器を根絶することはできる。

 

かなりトンチンカンで怪しい。。。

しかしそれでも、元々は序論あたりでタイムアップしていたことを考えれば、書き切ることができただけでも達成感があった。

 

時計を見ると、針は「14:57」を指していた。

 

「よし、筆記は時間内に終わらせた。

3分間余ってるから、リスニングパートに目を通してみるか。」

 

リスニングパート

開始前

– 14:59 –

リスニング問題のPart1に目を通し終え、僕は一度顔を上げた。

 

・・・なんだか、違和感がある・・・

 

筆記試験終了時間の間際だというのに、試験官が終了の合図を出す素振りがまったくないのだ。

 

せっかくだから、今読んだPart1の内容を軽くメモしておくことにした。

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– 15:00 –

再び顔を上げると、時刻は筆記試験終了時間の午後3時になっていた。

それにもかかわらず、試験官たちは未だに試験を止めようとしない。

 

「え!? まさかこの試験官たち、やったか?

 

だが、自分の周りを見ると、みんなガリッガリ書いている!!

 

「なんだ?どうなってんだ!?」

 

その時、試験官の後方にある黒板が、僕の目に映った・・・

 

筆記試験: 13:30 ~ 15:10

 

「・・・終了時間、15時じゃねーっ( ゚Д゚)!!」

※なお、2019年度試験より試験の開始・終了時間は変更になっています。

 

違和感の正体と自分の失敗に気付いた瞬間・・・
僕は自然と目をつぶり、左手をおでこへと当てていた。

教壇の上で、教室内がよく見渡せる場所に座っていた試験官たちはきっと、思っただろう。

「あ、あいつやったな。」と。

 

 

ただ逆に考えると、僕にはあと10分間も自由な時間があった。

「これってもしかして、リスニングのPart2, 3, 4も全部読んで、必要な箇所をメモすることができるんじゃないだろうか!?」

 

そして実際にやってみたら・・・できた。

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リスニング実施

– 15:15 –

15:10に筆記試験の終了が告げられ、しばらくしてからリスニング試験がはじまった。

 

僕は問題用紙に色々とメモを書いておいたおかげで、だいたい何が話されるのか分かっている。

リラックスした状態で、完全に聞くこと(耳)だけに集中することができた。

そして手探りで過去問を解いていた時と比べ、確かな手応えを感じた。

 

「そうか、この先読みがリスニングの戦術だったのか。」

 

本番試験の最中、僕は偶然にも英検1級リスニングの攻略方法を見つけたのだった。

 

 

– 15:50 –

「ひとまずやり切った。全部解答できた。」

 

今回の反省すべき点は、筆記試験の終了時間を勘違いしていたこと。

本来は15:10が終了時刻だったが、僕の脳内では15:00に終了だと思い込んでいた。

 

  • リーディングでは、最後の3問を無駄に犠牲()にした。
  • ライティングでは、冷静さを失い主張があいまいになった。
  • リスニングでは、先読みを行い実力以上の力を発揮できた。

(問39) ~ (問41)を自己採点したところ、正解は1問。つまり、正答率1/3だった。
4択問題であることを考えれば、確率的にそんなもんだろう。

 

時間を間違えたせいで失敗もあったが、逆にそれのおかげで得たモノもあった。

ひとまずは、合否発表を待とう。

 

解答速報発表: 2019年1月28日(月) 13:00

1次試験合否発表: 2019年2月12日(火) 12:00

 

帰り際、コートのポケットに手を入れると、そこには余っていたマカデミアナッツ・チョコレートが数粒入っていた。

少し溶けたそれを口に入れ、クタクタになりながら僕は教室を後にした。

 

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