- 小学3・4年生からはじまる「外国語活動」って、どんな内容なの?
- 5・6年生の「外国語」とは全然違うの?
- つまづきポイントとか、やっておいた方がいい準備があったら、知りたい!
2020年度からはじまった「外国語活動」及び「外国語」。
小学生の子供を持つ親としては、気になることだらけですよね。
本記事では元小学校教師の私が自身の経験を踏まえて、保護者の方々が知りたい「小学校の英語教育情報」をお届けしたいと思います。参考になれば嬉しいです^^
※今回は3・4年生の内容に焦点を当てていますが、小学校の英語全体についてサッと知りたい方には、「外国語活動」「外国語」の概要をまとめた以下の記事がおすすめです。
Contents
3・4年生「外国語活動」の特徴
3・4年生の「外国語活動」は、次の3つの特徴が挙げられます。
- ゲーム、歌、ペア活動など遊び中心
- テストや3段階評価はない
- アルファベットを書く、英文を読むといった活動はない
ゲーム、歌、ペア活動など遊び中心
3・4年生ではゲームや歌、ペアでのインタビュー形式のコミュニケーション活動が中心です。
授業では「友達に○○を聞いて書く」「あなたと同じ〇〇が好きな友だちを探そう」など、自由に動き回り、決まったフレーズで聞き合うというものが多いです。
テストや3段階評価はない
「外国語活動」には、単語テストや単元のテストはありません。
評価は授業中の関心・意欲や、振り返りカード、教科書へ書き込んだ解答などで行われます。
※5・6年生の「外国語」も、テストはありません。
元教師という立場からお話しすると、学力を数値化しないというのは後々つまづく原因になるのではないかと懸念してます。
※後程「つまづきポイント」のところで、再度触れます。
5・6年生の授業内容との比較
項目 | 3・4年生 | 5・6年生 | |
---|---|---|---|
自己表現 | ◯ | ◯ | |
国際理解 | ◯ | ◯ | |
聞く | インタビュー形式 | ◎ | △ |
視聴覚教材 | △ | ◎ | |
話す | コミュニケーション活動 | ◎ | ◯ |
書く | アルファベット書き取り | – | ◯ |
単語書き取り | – | ◯ | |
読む | 英文読み聞かせ | ◯ | ◯ |
英文の音読 | – | ◯ |
「外国語活動」及び「外国語」ともに、「英語を学ぶ」というよりは「英語で世界中の人々とコミュニケーションをとる」ことにフォーカスしています。
そのため、「自己表現」や「国際理解」が全学年を通したテーマとなっています。
5・6年生の授業内容と比較すると、3・4年生の「外国語活動」はレクリエーションのような雰囲気です。
そのためか、まだアルファベットや英単語を書いたりはしません。
また「聞く」「読む」能力へアプローチの方法も、3・4年生と5・6年生では異なってきます。
教科書から分かる「外国語活動」
3・4年生の「外国語活動」は、「聞く・話す」ことに重点を置いています。
そのためレクレーション活動が中心であり、英語を「読む・書く」ことはほぼありません。
読み書きは5年生以降へ持ち越しと考えましょう。
「外国語活動」の比重は・・・
聞く・話す >>> 読む・書く
では先ほどの比較表と照らし合わせながら、教科書の内容をより詳しく説明します!
自己表現
「外国語活動」の内容は、「英語で世界中の人々とコミュニケーションをとる」というテーマの元、こんな活動があります。
- Let’s Try!(1) Unit4「すきなものを言って自己紹介をしよう」
- Let’s Try!(1) Unit7「だれにどんなグリーティングカードを作り、何をつたえたいかを書こう」
※参照元: 京都教育大学
(http://www.kyokyo-u.ac.jp/eibun/andrew/classes/booklet3_all.pdf)
- Let’s Try!(2) Unit4「お気に入りの時刻とその理由をつたえ合おう」
- Let’s Try!(2) Unit8「友だちとすきな場所をしょうかいし合い、その理由について知ろう」
※参照元: 京都教育大学
(http://www.kyokyo-u.ac.jp/eibun/andrew/classes/booklet4_all.pdf)
特徴的なのは、活動の内容を英語で書きとらせることにこだわらず、日本語でもOKとしている点です。
日本語でもいいから、まずは自分のことを相手に話す練習をする。
新学習指導要領がいかに「伝える力」を身に着けさせたいかが、わかると思います。
国際理解
どの学年の教科書にも、必ず世界をテーマにした話題が出てきます。
世界を知り、日本との違いを学び、国際理解を進めようという狙いが読み取れます。
具体的には、3年生のUnit1「せかいのいろいろな国のあいさつを知ろう」では、国旗とあいさつが紹介されています。
※参照元: 京都教育大学
(http://www.kyokyo-u.ac.jp/eibun/andrew/classes/booklet4_all.pdf)
4年生のUnit1では、「えいぞうを見て、世界のいろいろな国のあいさつについて気づいたことを書こう」といった単元があります。
※参照元: 京都教育大学
(http://www.kyokyo-u.ac.jp/eibun/andrew/classes/booklet4_all.pdf)
聞く
小学校の英語教育は「自己表現・国際理解」が中心テーマになるとお伝えしましたが、世界への発信力をつける前に、まず相手の話を「聞いて理解する」ことが必要です。
そうでないと、会話がはじまりませんからね。
授業内容も、圧倒的に「聞く」活動を重視しています。
例えば、うちの娘の小学校が採用している「Let’s Try!」「We can!」では、以下のリスニング活動が組まれています。
主な4つの リスニング活動 |
内容 |
---|---|
Let’s Listen | CDの音声や教師の質問を聞いて、教科書に当てはまる答えを記入する。 |
Let’s Watch and Think |
DVDなど視聴覚教材の映像を観た後、教科書に当てはまる答えを記入する。 |
Let’s Chant | 単元で扱う単語やフレーズを、リズムに合わせて復唱する。 |
Let’s Sing | CDや教師に合わせて、単元に関連した英語の歌を歌う。 |
4種類のどれかの活動を行った後、学んだフレーズや単語を使った「Activity(アクティビティ)」という、ゲームやインタビュー形式の活動を行います。
アクティビティは自由に動き回り、インタビュー形式で聞き合うことが多いです。
テーマはこのようなものがあります。
(3年生の教科書Let’s Try!(1)の活動計画です。4年生のLet’s Try!(2)も似たような流れです。)
2020年度以降は「聞いて応える」内容が充実しています。
CD・DVDで聞いたフレーズを実際に使うことで、コミュニケーション力を鍛える狙いがあるようです。
話す
「話す」について、文部科学省が作成した「小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック」に以下の記述がある通り、子供たちが自主的に英語を話すことを目的とした授業内容になっています。
「話すこと」には、練習を繰り返し慣れ親しむ段階が必要である。しかし、それだけでは、目指す資質・能力の育成につながらない。「話す[言う]必然性」のある場の設定が、極めて重要である。与えられたものでなく、児童自らが思考し主体的に言葉を発する喜びを体験させたい。~ 略 ~
自主性を引き出すために、ゲームやインタビュー、自己紹介などを含んでいるのが特徴的です。
具体的な授業内容は、例えば3年生のUnit4「I like blue.」は以下のような流れです。
活動内容 | |
---|---|
1. 口慣らし | 【Let’s Chant】 「I like blue.」のチャンツを3つのバリエーションで歌う。 |
【Let’s Sing】 色の単語が出てくる歌詞を、児童と一緒に歌う。 |
|
【シャッフルゲーム】 児童が描いた虹の色から数枚を黒板に張り、色カードを児童と確認する。 |
|
2. 慣れ親しむ | 【カード・ディスティニー・ゲーム】 絵カードを使い、2人一組で「I like / I don’t like ~.」を言い合う。 |
【○×クイズ】 代表の児童が前に出て、その子の好みを○×で予想した後、「Do you like ~?」と確認する。 |
|
3. 活用する | 【Let’s Play】 インタビューしよう 「◯×クイズ」の延長。今度は各自ペアになり、相手の好き嫌いを予想して確認し合う。 |
【Activity】 自己紹介をしよう 好き/嫌いなものを絵や言葉で表し、自己紹介シートを完成させる。 |
※参照元: 小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック p.39
元教師の立場から見ると、学級の人間関係がそのまま出てしまいそうなのが気になります。うまくペアを見つけられない子もいるかもしれませんので、担任のフォローも大事になってきそうです。
書く
3・4年生の授業では、英語(アルファベット・英単語)を書くことはありません。
「書く」活動は、5年生になってからです。
3年生のUNIT6「ALPHABET」でアルファベットの大文字を、4年生のUNIT6「Alphabet」で小文字を学習しますが、ここではアルファベットの形と音が認識できればいいレベルです。
個人的には3年生はローマ字学習でアルファベットを学ぶので、どんどん書く学習も進めていいと思います。
現状の5・6年生の内容すらも、十分対応できるという印象です。
読む
「読む」活動は、3・4年生とも教科書最後のUNIT9で行われますが、音読などはしません。
CDやALT(外国人のアシスタントティーチャー)が読む英語を聞き、挿絵を見てなんとなくわかればいいそうです。
※小3娘談
読み聞かせの後は、物語にちなんだクイズ、ゲーム、簡単な劇を作るなどの活動へ発展していきます。
ですが、本格的に英語を読むのは5年生以降と思っておいてよいでしょう。
「外国語活動」のつまづきポイント
教科書を元に、3・4年生の授業内容を紹介してきました。
その中で、「外国語活動」にはいくつかのつまづきポイントがあることも分かりました。
元小学校の教師として、私が危惧するつまづきポイントは、以下の3つです。
- 自分の英単語力がわからない
- リスニングが次第に難しくなる
- 3・4年生では音読の練習をしない
①自分の英単語力がわからない
「外国語活動」はテストがないので、子供の英語力は数値化されません。
これによって、特に不安なのは単語力です。
子供たちは、どれだけ英単語を覚えているのか、自分自身でも分からないのです。
3年生 Let’s Try!(1) |
<約80語> 数字・色・形・運動・スポーツ・体の部位・アルファベットの大文字 |
---|---|
4年生 Let’s Try!(2) |
<約160語> 食べ物・果物・野菜・天気・曜日・時刻・文房具・動物・動作・形容詞・アルファベットの小文字 |
3・4年生で約240語の単語が出てきますが、小学校指導要領によると、これらは教師が授業の中で取り扱う単語であり、子供が覚える必要ないとのこと。
ですが、結局5・6年生以降でこの単語は出てきます。
小3娘はコミュニケーション活動で扱った英語を、こんな風にカタカナで教科書に書き込んでいました。
- pudding → プリン
- swimming → スイエイ
これは方針として、どうなんでしょうかねぇ^^;
学校側が子供の単語力を測らない以上、単語を覚える・覚えないは家庭に任せられます。
すると、やっぱり覚えない子もいるので、その後の授業(特に5年生以降)が厳しくなってきます。
これが1つ目のつまづきポイントです!
次学年以降も問題なく授業についていける英単語力をつけるには、やはり自分で単語帳やワークブックを購入したり、オンライン教材で復習しないといけないと思います。
②リスニングが次第に難しくなる
3年生で扱う英単語は80語と少ないうえ、日常生活でも聞いたことがあり、最初から知っているものばかりです。
ところが4年生からは「文房具・曜日・時刻」など、日頃耳にしない新しい英単語が扱われはじめます。
授業中はイラストやヒントでなんとかなっても、時間が経ち5・6年生で再度出てきた時はすっかり忘れてしまうのです。
その結果、リスニングが徐々にわからなくなる可能性があります。
これが2つ目のつまづきポイントです。
なるべく学校外でも英語を聞き、多くの英単語に触れる習慣をつけておきましょう。
③3・4年生では音読の練習をしない
3・4年生は最後の単元(Unit9)で、英文を読み聞かせする活動がありますが、自分で読む活動はありません。
一方で5・6年生からは短文を読む活動が加わり、英文を指でなぞりながら読んだり、音読をしたりします。
3・4年生まで一切練習してこなかった「読む」活動が、急に5・6年生から追加されるため、このギャップが3つ目のつまづきポイントになってしまうことがあります。
3・4年生のうちから少しずつ、家庭で読む練習もしておきましょう。
つまづかないための、予習・復習
5・6年生を意識した準備が大事!
上記のつまづきポイント3つは、3・4年生の時は分からなくても、5・6年生になると影響が現れはじめます。
5・6年生以降も授業について行けるよう、小学校の学習内容に沿った参考書や単語帳、オンライン教材を厳選し、毎日5分でもいいから続けることが大事。
特にリスニングです。
ここでは長女が4~6歳の頃、親子で取り組んでいた対策を3つご紹介します。
①授業に対応したリスニング教材で予習する
小学校の予習・復習するのなら、書籍よりもオンラインのリスニング教材が断然おススメです。
理由はシンプルで、オンラインのリスニング教材の中には、授業内容を忠実に再現するものがあり、子どもが大好きになるから!
うちでは長女が6歳、次女が5歳の頃から「英検ジュニア」というオンラインのラーニング教材を使ってきました。
この教材を長年使ってきた理由は、約1,000語もの英単語をゲーム形式で楽しく覚えられ、それが小学校英語に対応した3つのレベルに分かれているからです。
うちの娘の場合、参考書は勉強感満載でやる気が起きず、継続させるのが大変でした。
しかし英検ジュニアのラーニング教材だけは、ゲームなので喜んで毎回やっていました。
また、このラーニング教材は小学校の「外国語活動」及び「外国語」の教科書と作りがよく似ており、イラストや写真を使いながら英単語を学んでいきます。
私たち親子が使った中では、小学校英語のカリキュラムに内容が一番近いので、予習・復習におすすめです。
②フォニックス読みを進める
「読む」活動がスタートするのは、スタートは5年生からです。
しかし、3年生の2学期でローマ字を習うので、アルファベットの読み方とフォニックス読み(アルファベット本来の発音)の違いは身に着けておきたいものです。
というのも、フォニックス読みを習得すれば、初見の英単語でも発音がなんとなくわかるようになり、暗記がとても楽になります。
また英語のイントネーションも、発音の練習開始が早ければ早いほど、習得しやすくなります。
フォニックス学習は、ぜひ早めに取り組んでおきましょう。
③民間の英語テストや英語検定にチャレンジする
「外国語活動」ではテストがなく、英語の能力は数値化されません。
そのため、子供たち自身も自分の英語力が分からないのです。
子供の英語力を正しく知るために、民間の英語テストや英語検定に親子で取り組むことをオススメします。
中でも良いのは、英検ジュニアの検定です。
さきほど紹介した3つのレベル(ブロンズ・シルバー・ゴールド)があり、オンライン受験することができます。
合否判定ではなく、到達度を示すだけなので、英語力を測るのにはピッタリです。
※正答率が80%を超えれば次のレベルを受けられます。
お子さんが3・4年生なら英検ジュニアのブロンズにチャレンジされてはいかがでしょうか?
少し対策をするだけで高得点が狙えるので、自信もつきますよ!
まとめ
リスニング力をつける学習を、今からはじめよう!
2020年度からはじまった小学校の「外国語活動」及び「外国語」の授業は、コミュニケーション力を重視し、グローバルな視点を持つ子どもを育てるべく、特に「聞く」活動に力を入れていることがわかります。
3・4年生の授業は、「英語に慣れ親しむ程度でOK」といった具合で、学習ペースも抑え気味ですし、確認テストもありません。
しかし、子供たちは自分の英語力を測れない点は心配です。
それらの不安が、5・6年生の「外国語」におけるつまづきに繋がってしまう可能性があるからです。
学校で英語力を数値化しない以上、個々で予習・復習をして対策を立てるしかありません。
特にリスニングは小学校の英語教育の中心なので、今からはじめておきましょう。