- 英語の授業が「教科」になるって、結局どう変わるの?
- 5・6年生は通知表に英語の評価もつくの?
- 今からなにか準備をしておいた方がいい?家でも出来ることがあれば知りたい。
「2020年度から始まる新しい学習指導要領により、英語が教科化されます。」
・・・と言っても、具体的に何がどう変わるのか分からない人も多いはず。
まさに私も3年生の娘がおり、英語の教科化に直面していた1人ですので色々と調べました。
今回は学年毎の授業内容と、家でもできる3つの対策をご紹介します。
Contents
英語が「教科」になる?
実際に、教科化されるのは5・6年生から
小学3・4年生では、英語はまだ教科にはなりません。
2011年度から小学5・6年生で行われていた「外国語活動」という授業が前倒しされる形になります。
一方、小学5・6年生からは英語が教科として扱われます。
正式には「外国語」として、時間割に入ってきます。
小学3・4年生の段階ではまだ教科ではないため、成績はつきません。
しかし小学5・6年生からは、3段階評価で成績がつきます。
では「外国語活動」や、教科としての「外国語」とは具体的にどういうものなのでしょうか?
小学3・4年生: 「外国語活動」の内容
ゲームや歌が中心で、コミュニケーション力アップが期待できる!
文部科学省の学習指導要領によると、3・4年生の外国語活動は「外国語でコミュニケーションができる素地を育むこと」が目標です。
「素地を育む」とは、具体的にはどのようなことなのでしょうか?
例えばこちら「第3学年 Unit4 I like blue. すきなものをつたえよう」という単元内容ですが、授業ではこんな活動が組まれます。
歌 |
|
---|---|
アクティビティ |
|
クイズ・ゲーム | 「シャッフルゲーム」「Who am I? クイズ」など、毎回1~2個クイズやゲームを行う |
復習 |
|
チャンツ | リズムに合わせて、単語や分をリピートする |
引用元:小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック (P.36~37)
ゲームやクイズでは「ペアになって〇〇を尋ねたり答えたりする」「〇〇を紹介する」など、実際にコミュニケーションをとる活動が多く取り入れられています。
これにより、子供たちには「英語はコミュニケーションのためのツールだ」という感覚が自然と身につくと期待ができます。
文法から入った私の中学英語とは大違いです。
コミュニケーションを中心とした活動内容になっている点は、とてもいいと思います!
ただ少し充実し過ぎている(てんこ盛り?)気もしており・・・
子供たちには負担になる面があるかもしれません。
成績はつきません
「外国語活動」は教科ではないので、3段階評価はつきません。
なので、まだまだ楽しみながら授業ができる雰囲気です^^
ちなみに、移行期間に3年生だった娘の通知表には、「総合的な学習の時間」の中に英語活動の様子が記されていました。
授業数は35コマ
授業数は年間で35コマ。週に1~2コマ程度のペースです。
教えるのは外国人じゃなくて、担任の先生!?
担任の先生とALT(※)によるチームティーチングも部分的にはありますが、多くの地方自治体では予算と人員不足の関係で、担任主導で授業が実施されます。
※ALT(Assistant Language Teacher): 英語の授業で日本人教師を補助する外国人のことです。
現役小学校教師から聞いた話ですが、これには私も驚きました!
現在先生方は、研修・自己学習などで準備に追われているようです。
元小学校教員としては「現場の先生方、準備は大丈夫かな・・・」と少し心配です。
小学5・6年生:「外国語」の内容
英語の読み書きも入る「教科型」授業がスタート
小学3・4年生の「外国語活動」では「話す・聞く」が中心でしたが、小学5・6年生からはじまる「外国語」では「読む・書く」がより重視されていきます。
ここで1つ知っておくべきポイントは、5・6年生が2年間で習う単語数です。
その数、600~700語。
これはいったい、どれくらいの数なのでしょうか?
例えば、英検と比較してみます。
英検 | 単語数 | レベル |
---|---|---|
5級 | 約600語 | 中学初級 |
4級 | 約1,300語 | 中学中級 |
3級 | 約2,100語 | 中学卒業 |
準2級 | 約3,600語 | 高校中級 |
2級 | 約5,100語 | 高校卒業 |
準1級 | 約7,500語 | 大学中級 |
1級 | 約10,00語 ~ 15,000語 |
大学上級 |
参照元: 旺文社リスニングアプリ 英語の友
つまり、現在の「中学初級(1年生)」と同じか、それ以上の単語を学び「読む・書く」を行うことになります。
書くこと
英検5級レベルの単語を学び、スペルまで書けるようになるのはかなり大変だと思いますが、文部化科学省の資料(【外国語活動・外国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説)を読む限り、そこまでの高いレベルは求められてないようです。
5年生の目標
- 「書くこと」の目標は大文字・小文字を書けるようになる
- 音声でわかる単語を書き写すことができる
6年生の目標
- 文章を書き写せるようになる
(出だしの文字は大文字、単語と単語の間はスペースを空けるなど)
小学5・6年通して「書き写せるようになる」ことが目標なら、そう難しくはなさそうですね。
読むこと
5・6年生のカリキュラムでは、単元毎に短い文章を読むページがあり、特に6年生になると文章が長くなり扱う情報量が増えます。
例えば、移行期(2018・2019年度)に文部科学省から発行された「We can!」において、
5年生のUnit1では、3行程度の短い文章です。
Hi, my name is Kazu.
I like cats and dogs.
I like soccer and baseball.
しかし6年生のUnit6になると5~6行くらいになり、扱う語彙数が増え、また時制の概念(過去形)も加わった文章になります。
My family went to the sea this summer.
I saw some seashells, starfish and jellyfish.
We had a nice dish of fish.
It was delicious.
A delicious dish of fish.
当然ですが、使用される単語は3年生から習ってきたすべての単語を含みますので、それまでに習ってきた単語を覚えてないと「読むこと」については、6年生もしくはもっと早い段階でつまづいてしまうかもしれません。
逆に単語がしっかりと身についてさえいれば、対応はできるはずです。
まだまだ内容が簡単な3年生の頃から、習った単語はしっかりと復習しておくことがとっても大事!
なお、各主要な教科書出版会社の教科書は、デジタル版の教科書や動画が試読・視聴できるので、どんな内容か見ておいた方がいいでしょう。
- Blue Sky (啓林館)
https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/sho/text_2020/english/ - NEW HORIZON Elementary (東京書籍)
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou/eigo/ - CORWN Jr. (三省堂)
https://tb.sanseido-publ.co.jp/02cjpr/
3段階評価で成績がつきます!
英語が「外国語」として教科になる=「成績がつく」。
今までお遊び半分の楽しい活動だったのに、急に1~3の評価がつくシビアな科目になってしまうわけです。
では具体的に、どんな観点で成績がつくのでしょうか?
評価の観点は3つあります。
- コミュニケーションへの関心・意欲・態度
活動の中で、積極的にコミュニケーションを図ろうとしているかどうか。 - 外国語への慣れ親しみ
外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しんでいるかどうか。 - 言語や文化に関する気付き
言葉の面白さや豊かさ、模様なものの見方や考え方があることに気付けるかどうか。
※平成22年5月の初等中等教育局長通知
「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」で例示された外国語活動の評価の観点を参考にしました。
従来の「〇〇ができる」という言葉はなく、「図ろうとしている」「慣れ親しんでいる」「気付ける」など、意欲や積極性を見る言葉が並んでいます。
つまり漢字・計算のようなテストによる評価はでなく、活動中の発言や行動の様子、ワークシートなどの記入内容が評価対象になります。
意欲や積極性を評価してもらえるのであれば、英語の学習歴が影響せず、フェアでいいですよね^^
授業は70コマ
授業数は年間で70コマ。週に3コマ程度のペースです。
ただ、授業時間の取り方はかなり特殊です。
◯通常(45分) x 2コマ
+
※モジュール(15分? 細切れ?) x 3コマ
上図のように、外国語はモジュールという短時間の授業を組み込んで行うそうです。
そしてこのモジュール授業の時間を確保するために、朝の会や昼休みが利用される可能性があるとのこと。
朝の時間はすでに読書タイムに充てられていますし、昼休みは子供たちの大事な自由時間です。
さらに先生方は、この時間を使って宿題が未提出の子供をサポートしたり、連絡会を単発で開いたりしています。
私の3年生の娘は「学校は忙しい。トイレに行く時間もない。」とつぶやくほどですので、この計画のままではどこかに支障が出てくる可能性も高く、個人的にはあまり賛成できません。
授業数が足りなくなった場合は、児童会活動やクラブ活動等を削る案が出ているそう。
でも、これからの子供たちに本当の意味で主体性を持たせたいなら、そういった活動時間はむしろ増やすべきだと私は思っています。
教えるのは誰?結局、担任の先生?
小学校高学年における外国語は、色々な人材によって教えられる可能性が高いです。
- 担任の先生
- 専科教員
- 外部人材
- ALT
ALT(AssistantLanguageTeacher): 英語の授業で日本人教師を補助する外国人のことです。
5・6年生の外国語では、できるだけ専科教員やALTを配置して欲しいというのが親の気持ち。
しかし、いかんせん予算や人材が足りず・・・結局、担任の先生による単独授業が多くなりそうです。
私の経験から言っても、特にモジュール授業(15分)のような細切れの時間は、専科教員、ALT、外部人材では対応できないんです。
結果、学級担任が担当することになります。
- 時間は細切れ
- 人材は不足している
- 単語数も多い(英検5級レベル)
難題だらけですが、これからわが子が直面する課題に対して、家庭でできる対策や準備はないのでしょうか?
家でもできる3つの対策|英語の教科化で、わが子が落ちこぼれないために!
すでに塾や習い事に通っていると、追加で英会話スクールなどに通うのは親子にとって負担。
そこで、ここでは家庭のスキマ時間を使ってできる、初心者向けの英語対策をご紹介します!
※小学校3・4年生の「外国語活動」と照らし合わせた対策には、こちらにより詳しく書いてあります。
フォニックスを学んでおく
フォニックスとは、簡単にいうと「英語の音と文字の間にあるルールを学ぶこと」です。
ABCの歌では、ABCを「エー」「ビー」「シー」と発音しますが、フォニックス読みでは「アッ」「ブッ」「クッ」という風に読みます。
このフォニックスの読み方やルールを理解することで、知らない単語も推測して読むことができるようになるんです。
例えば、「Bed」を一般的なアルファベットで読むと・・・
B (ビー) + E (イー) + D (ディー)
→BED (ビーイーディー)
なんだか、よく分かりませんよね^^;
でもフォニックスを学べば、自然とこう読めるようになるのです。
B (ブッ) + E (エッ) + D (ド)
→BED (ブッエッド ≒ ベッド)
子供たちの中には、元から知っているアルファベットの音と英単語の音が結びつかず、そこで詰まってしまう子もいます。
でも、フォニックスを知っていればそういったことは少なくなるので、リスニングはかなり楽になります。
音声付きのフォニックス教材を使えば、英語の発音に自信がない方でもお子さんにフォニックスを学ばせることは可能です。
オススメの教材や教え方は、以下の記事に詳しく書いてます。
英語の音声に慣れておく
外国語の新教材関係の資料を調べていると、外国語活動・外国語、どちらも非常に「リスニング」を重視していることがわかります。
例えば教科書の練習問題では
- 音声を聞いてその通り話す
- 音声を聞いて単語を選ぶ
- 音声を聞いて単語を書き写す
このように、音声を使った問題や活動がとても多いです。
改定後の外国語活動・外国語という教科は、文法をまったく学ばず、自然に英語を身につけるための実践的な授業です。
そのため、日頃から家庭でリスニング教材を使って英語の音に慣れておくことが大事です。
英語初心者のお子さんは、リーズナブルな価格設定でかつパソコンやタブレット端末があれば自宅で学習できるeラーニング教材を使った学習が効果的です。
英会話教室のようにグループレッスンではないので自分のペースで学習できるうえ、楽しいアニメーションやゲーム、ストーリー等が楽しめるので飽きずに継続しやすいです。
わが家では2人の娘に、英検ジュニアのラーニング教材を使ってみました。
内容は小学校の英語の授業の先取りにピッタリで、イラストやゲームで娘2人とも楽しんで取組めました。
自宅で英会話の練習をする
小学3・4年生の外国語活動、小学5・6年生の外国語の授業。
どちらも「聞く」「話す」が中心となり、私たち親世代が受けてきた英語教育とはまったく違うものです。
これまでの「英単語・文法問題の暗記!」
・・・ではなく、実際に誰かと英語でやりとりする練習が必要になります。
早いうちから少しでも会話の練習をしておくと、小学校の授業でもスムーズにスタートを切ることができるでしょう。
私の娘もそうだったのですが、子供たちは学年が上がるにつれて、恥ずかしがって英語を話さなくなってしまうことがあるので、まだまだオープンな小学低学年のうちから英会話をはじめて、話すことへの抵抗感をなくしておく方がいいです。
わが家では子供専門のオンライン英会話「リップルキッズパーク」というサービスを利用していました。
まとめ
外国語の授業でつまづかないために、今から最低限の準備を!
2020年からスタートする、「外国語活動」と「外国語」の授業。
授業の数も内容も増え、評価面では「積極的に英語を話すこと」「他者を理解しようとすること」などの新たな観点が生まれました。
何も準備せずそのまま授業に参加をすると、授業についていけず、英語が嫌いになってしまうお子さんが出ることも予想されます。
特に教科として扱われる、小学5・6年生の外国語の授業でつまづかないために、家庭でできる準備を早めに進めていきましょう。
英語を好きになるか嫌いになるかは、最初につまずくかどうかで分かれると思います。
私も今、娘と共に絶賛準備中。
みなさんも、一緒に頑張りましょう!