Contents
まえがき
コロナによって、世の中が大混乱している昨今。
そんな状況下でも色々な事情を抱え、不慣れな土地で生活を続ける人がいる。
今回はその中でも、ワーキングホリデービザで海外に滞在している人に焦点を当ててみた。
ワーキングホリデービザは高い柔軟性がある一方、不安さも併せ持つ一得一失のビザ。
僕自身もこのビザでオーストラリアに滞在していた時、その特性に悩まされた経験を持つ。
「コロナ禍の中、雇用は保証されるのか?」
「現地の保証を受けられるのか?」
「帰国すべきか?残るべきか?」
今現在もワーキングホリデーでニュージーランドに滞在する女性に話を聞き、その心情を語ってもらった。
私について
自己紹介
はじめまして、Hです。20代です。
子供の頃、近所にあった個人経営の英会話教室に通っていたこともあり、小さい頃から「いつか私も海外で生活してみたい!」という、漠然とした想いがありました。
学生時代、英語は得意でした。
でも、テスト勉強や発音、単語には強かったけど、英会話にそこまで自信があったわけではありません。
また、留学などもしませんでした。
大学卒業後も、英語とは関係のない仕事に就きました。
しかし5~6年くらい仕事を続けた後、「やっぱり、海外に住んでみたい!」という気持ちが強くなってきました。
また年齢も20代半ばを過ぎ、ワーホリの年齢制限が30歳までということも知っていたので、退職してワーホリに行くことを決めました。
NZワーホリのきっかけ
最初のワーホリはオーストラリアだったんです。実はニュージーランドは、2ヵ国目です。
ワーホリの行き先で、ニュージーランドとオーストラリアで迷ったんですけど、オーストラリアのワーホリに行ったことがある日本の友達に
「あなたは、バイロンベイ(※)が好きだと思うよ。」と言われ、調べてみたらその街が気に入りました。
(オーストラリア最東端の街「バイロンベイ」)
きれいな海があって、のんびりとした空気感も私に合ってそう。
また日本人が少ない語学学校にも魅力を感じ、バイロンベイからワーホリをスタートさせることにしました。
そしてオーストラリアのワーホリから1年が経つ頃、やはりニュージーランドにも未練があったことに加え、英語力的にもまだ満足していなかったので、「観光のためにも、英語力をさらに伸ばすためにも、ニュージーランドに行こう!」と決意。
オーストラリア国内からニュージーランドのワーホリビザを申請し、日本には帰らずオーストラリアから直接ニュージーランドのワーホリを開始しました。
ビザの期間
私のニュージーランドワーホリのビザは、2019年9月から2020年9月までの1年間です。
NZでは、なにをしているの?
今現在は、ロードトリップ中です。
AirBnBで家を見つけながら、ニュージーランドで行きたかった場所を色々と回っています。
ロードトリップに出る前は、Fox Glacier(フォックス・グレイシア)という街のモーテルで、住み込みで働いていました。
朝は客室のクリーニング、夜は併設されていたレストランのウエイトレスをしていました。
ニュージーランドでコロナが注目されはじめた頃、私はこのモーテルで働いていました。
コロナ・NZへの影響
コロナの広がり
【2020年 2月下旬】
ニュージーランドで、最初のコロナ感染者が確認されました。
「あぁ、ついにNZでも出たのかぁ。」とは思いましたが、私は感染が確認されたオークランドからは離れたところに住んでいたので、あまり気にしませんでした。
むしろ、私にとっては日本の方が心配でした。
【2020年 3月半ば】
3月半ばになると、コロナへの警戒心は急激に高まりました。
モーテルで働くボスや同僚たちも、突然コロナの話をするようになったのです。
「じわじわ」ではなく、本当に「突然」でした。
私も前日までは気にしてなかったのに、今日になって「モーテルに泊まっているお客さんが怖い。」と、意識が切り替わった瞬間があったことを覚えています。
でもニュージーランドのメディアは、コロナの恐怖心を煽るような報道はしませんでした。
おそらくニュージーランドは、他国に比べて感染者が少なかったためだと思います。
【2020年3月23日(月)】
ニュージーランド政府がコロナへの対策方針を決定し、2日後(3月25日)からいきなりロックダウンに入ることが決まりました。
働いていたモーテルでは、3月半ば以降、私のボスも「モーテルの営業を続けるかどうか。」が分からずバタバタしていました。
しかし結局は、それよりも先に政府側でロックダウンを決めました。
「ニュージーランド政府は、本当に決断と実行が早い。」と感じたのを覚えています。
【2020年3月25日(水)】
ロックダウンがはじまり、私のモーテルを含め周りのビジネスは一気にクローズしました。
日本のように「どうなるんだろう?どうするんだろう?」と迷ったり、不安に感じる期間すらもなく、ニュージーランドは一瞬にしてすべての状況が変わったという印象です。
感染者数
2020年5月23日現在、ニュージーランドの感染者数は約1,100人。死者数は20人程度です。
感染者数は3月半ば頃から一時的に増えましたが、1ヵ月も要することなく収束に向かっていきました。
ここ1ヵ月くらいの感染者は、ほぼ毎日0人。出たとして、数人程度です。
コロナへの対策・政府の支援
ニュージーランド政府はコロナ対策方針を2020年3月23日に発表し、3月25日からロックダウンを行いました。
これにより、スーパーや薬局、ガソリンスタンドなどの生活に必須なビジネス以外はすべて、突然休業することになりました。
ロックダウン中も、基本的に住んでいる地域のスーパーなどには自由に行くことができました。身分証明書を見せないと外出できない・入店できないといったことは、ありませんでした。
ただ、隣町のスーパーに行ったために、警察に職務質問されるということはあったそうです。
生活圏内では、以下のようなコロナへの対策・注意喚起を目にすることができます。
(街でよく見かける、コロナエチケットのポスター。)
(プッシュ式信号は、ボタンを押さなくても自動で信号が変わるようになりました。)
(大手スーパーは入場制限をしているところが多いです。間隔を開けて入店を待ち、1人ずつ入ります。)
(フルーツ・野菜の売り場には、「触ったら買ってください」といった内容の注意書きがあります。)
(レジ待ちの時に、ソーシャルディスタンスの確保を促すステッカーです。)
ニュージーランドのコロナ経済対策としては、事業主に対する雇用助成金があります。
これは基本的に事業主(企業など)が申請し、【政府→事業主→従業員】という流れで支給されます。
<NZの雇用助成金内容>
週20時間以上勤務: $585.80 x 12週間 = $7,026.6 (約47万円)
週20時間未満勤務: $350.00 x 12週間 = $4,200 (約28万円)
私はワーホリでしたが、働いていたモーテルと契約書を交わしていたため、給与補償を受けることができました。
※私は2ヵ月間の契約だったので、$4,686 (約32万円)です。
なお、一律の給付金や、家賃補償といったものはありません。
正常な生活に戻るまでの目途
ニュージーランド政府は、コロナ対策として4つのアラートレベルを設定しています。
画像参照元: Otago Daily News
- レベル4 (ロックダウン)
スーパー・医療関連・公共事業など以外は、営業不可。
行動規制・渡航規制。 - レベル3
ほとんどの事業が再開。
ただし、小売り・接客業は店に客を入れての営業不可。
※テイクアウェイ/ピックアップのみ可。 - レベル2
学校再開。小売り・接客業の通常営業可。
国内の移動は可能だが、行動記録を取る必要あり。 - レベル1
行動規制、完全解除。大規模イベントの営業も可。
ただし、国境管理は継続。
アラートレベル4の期間は1ヵ月間くらいと長かったです。
その後、アラートレベル3の期間を2週間くらい経て、2020年5月14日にアラートレベル2に下がりました。
これによってカフェや美容室、小売店などが営業を再開しましたが、現在もクラスター追跡のために行動記録を取ることが求められています。
(飲食店や小売店の入り口に名前・住所・電話番号を書く用紙、もしくはその代わりとなるQRコードがあります。)
政府に対する国民の評価
政府の対応に対しては、肯定的な評価ばかりです。
ニュージーランドの国民性もあるのか、落ち着いている人が多く、私は文句を言っている人を見たことがありません。
対策が早く、コロナの抑え込みに成功したことに加え、毎回アラートレベルが下がる度にアーダーン首相が行う発表も分かりやすいです。
みんな信頼して、政府の指示に従っています。
スーパーなどでも列を乱している人はおらず、みんなソーシャルディスタンスを守っています。
ただマスクは、一部のアジア人を除いて、ほぼ使われてないですね(笑)
コロナ・私への影響
予定がゼロになり、いつ帰れるかも分からない・・・
ビザは9月まででしたが、元々の予定では6月に帰ろうと思っていました。
7月頭にある、日本の友人の結婚式に出席するためでした。
なので、5月中旬まではモーテルで働いて、それから数週間色々なところを回った後に日本に帰るつもりでした。
でもコロナによって渡航規制が敷かれ、また友人の結婚式もキャンセルになったため、予定がゼロになってしまいました。
「ニュージーランドはそんな酷くないので、1ヵ月もすれば予定通り帰れるだろう。」と思っていたのですが・・・
実際今は、ニュージーランドから日本への直行便が無く、香港やシンガポールを経由する必要があるのですが、両国とも乗り継ぎを含めて入国ができません。
今後徐々に各国の空港が解放されていくことを願いますが、コロナの第2波が起きたり、また移動中に感染するリスクも考えると、正直いつ帰れるかすらも分からない状況です。
ワーホリならではの心配事
モーテルで働いていた時は、
「急にクビになるかもしれない。」
「住み込みで働いていたので、従業員用の宿を追い出されるかもしれない。」
「ワーホリは給与補償がもらえないかもしれない。」
こんな不安がありました。
でも結局、どれも杞憂に終わって良かったです。
今は給与補償が終わってしまい、無収入なのでお金の心配があります。
あとは「帰りたくても、帰れないかもしれない。」というのが不安です。
ワーホリと現地民・待遇の差
政府からの保証という点では、ワーホリとローカルの差はあまり感じませんでした。
私も給与補償の対象となり、受け取ることができましたので。
ただ、働いていたモーテルでは、ワークビザの人との対応に差を感じました。
モーテルが休業する前の、最終週分のお給料が半分しか振り込まれていませんでした。
理由をボスに聞くと、
「ワークビザを持っている人に優先的払っている。そういう政府の指示なんだ。もう半分は来週になる。」と言われました。
(本当に政府の指示なのかは、怪しい・・・)
ボスは元々対応が雑だったのですが、コロナの影響が出てからは、それがより顕著になりました。
そして結局、未払いの給料はそのまま支払われませんでした。
もしかしたら、私から積極的に聞いていなければ、給与補償なども受けられなかったかもしれません。
この件について、もちろんは最初は納得がいきませんでした。
でも、日々世界中で悪化するコロナのニュースを見ているうちに、「ワーホリの身で住む場所と収入があるだけラッキーだな。」と思うようになりました。
私が現地に残った理由
ニュージーランドは他国に比べて、コロナの影響が深刻ではなかったので
「もしかしたら割とすぐに元通りになるのでは?」と思っていました。
行ってみたい場所もたくさんあったので、「まだ残りたい。」という気持ちも強かったです。
ロックダウン後は行動が制限されるようになってしまいましたが、一方で給与補償があったので生活はできていました。
家族は心配だったけど、逆に早く日本に帰ったとしても絶対に仕事は見つからない。帰ってもどうせ何もできない。
そう考えると、「ニュージーランドに残りながら様子を見た方がいいかな。」と私は考え、残ることを決めました。
コロナが終わったあとのこと・・・
まずは日本の状況が落ち着いてきたタイミングで、一旦帰国しようと思います。
本当はその後、今度はドイツにワーホリに行きたいと思っているのですが、「いつ行けるようになるんだろう。」といった感じです。
ヨーロッパはコロナの影響が特に深刻であることは分かっているので、年内は難しいということは覚悟しています。
しばらくは日本に住んで働きながら、来年あたりにはコロナが終息してくれることを願います。
そしたら、またワーホリに行きたいです。